CAとBDを行ったり来たりする
GRIDFRAMEのABCD分析において、空間づくりの目標は、閉じられた領域CAと開かれた領域BDとを行ったり来たりできる空間をつくること、としている。
では、行ったり来たりするとはどういうことか?
それは、例えばこういうことだ。
ぐったりと疲れて、カフェに入る。ただ、ゆったりと座って、快適・簡単・便利な環境の下で、おいしいコーヒーを飲みたい。
そんな状態の人に、創造的な姿勢を望むべくもない。どこにでもあるような、安心して入れるカフェがいい。既視感があって、守られているように感じて、すべては想定内のことばかり起こってほしい。
このとき、人はCAの領域にどっぷりと浸かっている。
・・・ちょっとくつろいで、元気が出てきた。よく見ると、見たこともないような素材が目に飛び込んでくる。
え、これは普通はこんなところで使われるような素材ではないじゃないか。驚く。と、同時に、自分だったらどんな場所でこれを使おうか、と考え始める。
そうだ、今欲しいと思っている机を、買うのではなくて、これを材料に自分でつくってみようか、というアイディアが浮かぶ。
さらに、この材料に最近気になっているあの材料を組み合わせてみるのもいい・・・
このとき、人はBDの領域へ移動している。
だから、普通のどこにでもある空間に、一部、何か意外なものが素材として使われていれば十分なのだ。
今の空間の一部を変えるだけで、CAの空間は、好きなときにBDの空間へ飛び込むことが可能な空間になる。(20230816)
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