元々の土壁は、一定の間隔で水平に流された貫(ぬき)と呼ばれる木板に小舞竹が打ち付けられていたために、木板の前の部分だけ薄く仕上がっている。

今回、千葉県鋸南町保田の納屋から切り取ってきた土壁は、壁厚である厚い部分は約35ミリ、貫の前の薄い部分は20ミリで、厚い部分は約530ミリ幅、薄い部分は115ミリ幅で繰り返される。

その土壁を埋め込もうとしている大壁は、縦に流されたスタッドのピッチが455ミリの前に、12.5ミリ+9ミリ=21.5ミリの石膏ボードが貼ってある構造を基本としている。この面から飛び出さないように土壁を埋め込みたい。

だが、施工写真を確かめると施工上の理由でピッチが広い部分と狭い部分があるように見えた。この広い部分が、530ミリを超えていれば、土壁の表面が石膏ボードの表面より飛び出すことなく、収めることができる。

実際に石膏ボードを切り取ってみて初めて収まるかどうかがわかる。賭けである。

恐る恐る石膏ボードを切り取る。スタッドの間を計ったら、なんと530ミリちょうどだった。・・・奇跡だ。

できあがると、偶然によって助けられていることを、忘れてしまいがちだ。

だが、前へ進もうとすると、天に助けられることが実はとても多い。

いつも何かへ向かって感謝すべきだろう。

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